ストレスが感じないフルアコ
フルアコと言えば、ハイポジションが弾き辛いイメージがある。しかし、CasinoはES-330と同じ型になっていることから高音弦、低音弦のハイポジションも弾き易くなっているので、表現の幅が広くプレイすることが出来るフルアコである。よく目にするフルアコの低音弦は12フレットからのハイポジションが弾き辛いと言うより、ほぼ弾けない構造である。高音弦も1、2弦の17フレット程度まで押さえ難い。それもストラップを低い位置にしてやっとこのフレットに指が届く感じにあるが、身長が低い人や指が短い人には辛いギターであるが、CasinoなどのESシリーズのフルアコ、セミアコはハイポジションが押さえ易いことが有難い。フルアコのサウンドを活かしながら、ハイポジションを鳴らしながら高音弦、低音弦を組み合わせフレーズが弾くことも可能ということもあり、自分自身の表現したい幅が広がるだろう。更にビグスビーのトレモロアームを搭載すれば、もっと表現の幅が広がりジャム・セッションの場でも多彩にフレーズを演出することが可能なフルアコである。ちなみに、ビグスビーのトレモロアームを搭載することでハウリングが起きた場合に、トレモロアームで弦に触れないままアームを使うとハウリングが揺れるような音になることもある。
高音のクランチサウンドが魅力
P-90が搭載されているのでクランチサウンドでロックンロール、ブルース、ジャズには適したフルアコである。ハウリングは抑えるように製造されているが、センターブロックがないのは、キツイものがあるためディストーションをフルにしたらハウリングは有り得る。Casinoで激しいサウンドで演奏するHR/HMやハードコア、デスメタル等は避けた方が良いと思えし、実際にCasinoでそれらのジャンルを演奏した人を見たことがない。シングルコイルが搭載されているフルアコなので、クリーントーンを使いながらのコード弾きや単音弾きも良いが、軽く歪ませながらクランチサウンドに適したロックを演奏する選択肢もあるのがフルアコの魅力である。例えば、アンプ直のみならゲインを10時までにしてトレブル、ミドル、ベースのつまみはバランスが取れたセッティングが望ましいだろう。オーバードライブ、ディストーションを通してサウンドメイクをするのであれば、TS系のオーバードライブの場合は出来るだけトーンを3時~フルに近い状態にしてからレベルとゲインの調整をすることが良いと思える。もし、トーンを高くするのが嫌いなのであればアンプのトレブルを高くし、ミドルを12時より右にするのは避けて調整をする方が良いだろう。それ以外の歪み系エフェクターを使用するならトーンや歪みとのバランスなどと相談しながらサウンドメイクをし、自分に適したロックやブルースなどのフレーズをプレイすることがCasinoで作るクランチサウンドの魅力である。更に、製造されている数は少ないがミニ・ハムバッカーが搭載されたモデルもあるので、もう少し歪みや太い音が欲しいのであればミニハム型のCasinoが良いだろう。
ES-330の遺伝子を持ったフルアコ
Epiphoneと言えば、韓国や中国で製造されているイメージが多い。実際に中国、韓国で製造されているCasinoもあり搭載されているピックアップは純正のギブソンではないし、木材も良い物ではない。
中国製、韓国製のCasinoのメリットは低価格でフルアコを購入することが出来るということである。これは、グレッチの廉価版のエレマチシリーズと同じ内容にもなる。日本製のCasinoは、寺田楽器で製造され純正のギブソンのP-90を搭載していることと内部の構造などの製造技術も高いため20万円前後する価格である。ギブソンのES-330は、今はカスタムショップのみになるため高額な値段がするが、その代わり寺田楽器で製造されたCasinoは330の日本製と言って良いだろう。ちなみに、エリーティスト65カジノはポリエステル塗装であるが、エリートシリーズの65カジノはラッカー塗装となっている。
ヘッドのロゴは「Epiphone」であるが、問題はそこではなく「どこの工場で作られたのか」「木材や構造がしっかりした物か」ということが重要である。
日本製のCasinoは大量生産ではなく、クラフトマンがしっかりと木材の加工からピックアップを取り付けていることと、寺田楽器はグレッチのフルアコも製造しているので、国産のCasinoは安心感が持てるフルアコである。また、トップボディーはメイプルを使用し、ハウリングを抑えるため5プライ構造を取っているので、ディストーションサウンドにも使えるフルアコである。
ユニットで使用する場合
Ibanezのチューブスクリーマー、オーバードライブを他の歪み系エフェクターとユニットで使う方も多い。クランチ感が強いBOSSのブルースドライバーとTS-9を同時に歪ませてワイルド感を出すという方法や、RAT2をトレブリーな設定にしてTS-9と同じ音量にしてリードを取る方法もある。例えば、RAT2の歪みを7~8時にしてフィルターを10時程度、ボリュームを12時、TS-9はドライブが12時前後、トーンが12時前後、レベルが12時程度にして、強調したい音のペダルを左側に置く方法である。TS-808DXはブーストさせるペダルがあるので、TS-808DXを右に置く(ブーストがあるから)、TS-808を左側に置いて、強調させたい音をTS-808でレベルはDXと同じにしてドライブや、トーンのサウンドメイクをする。歪みを増す使い方をするのであれば、リード取るエフェクターの音量を12時程度までにしてTS-808DXで歪みの深さを作り、音量を上げる時にブーストペダルを踏み込むというのは便利であるが、それはそれでTS-8DXの特性を下げることになるだろう。TS系と言われるエフェクターをユニットで使うのであれば、TS系プラスTS系は出来るだけ避ける方を選ぶが、TSを強調させるのであれば、TS-9とマエストーソをユニットで鳴らすことも面白いだろう。実際に、この組み合わせを試したことがあるが、マエストーソを左側にしてレベルは両方とも同じで、トーンはマエストーソが完全フル、TS-9が12時~2時の間で、ギターはシングルコイルが搭載されているタイプでフロントのみを使用。温か味があるクランチサウンドになったと言える。
ブースターとして使用する場合
TS-9はブースターとして音量を上げる、歪みを足す使い方として使用する人が多いが、確かにTS-9はその方が使い易く便利である。TS-808も同様に音量の上げる、歪みを足すということも出来るが、ブースターとしてならTS-9の方が余計な音が少ない。私はギターソロを弾く時やドラムとベースが盛り上がる時にTS-9を踏みますが、歪みの増加より音量を上げる方の使い方をしている。ドライブが完全オフ、トーンは9時~10時程度、レベルがフルという、一般的なオーバードライブをブースターにする使用する設定で、歪みも音量と同時に歪みを「気持ち程度に増したい」時は、TS-9の上記の設定からドライブを9時程度までに上げる。その分、余計な音が出るがそれはそれで、TS系の楽しみ方の一つであると考えている。シンプルで歪みが少ないロックを演奏する時などにTS-9、TS-808を踏みこんで音量や歪みを増す時には、使用するのは便利なアイテムになる。しかし、HR/HMで歪みを増すために使用するのは、不向きと思われる。実際に、それらのジャンルは最初から過激なディストーションサウンドになっていることが多く、歪みを増したりブーストで音量を上げる使い方をしても、余計に荒々しくなるだけである。